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ASRock製マザーボードと「A-Tuning」を使いファンの回転数を自在に操るには?

文●KTU (加藤勝明) 編集●ハッチ

 PCには色々な場所にファンが付いている。CPUならCPUクーラーに、ビデオカードにはカードに一体化したファンが付いている。だが、これらのファンをどの程度の回転数で回したらよいか、という明快な答えはない。パーツ構成やファンの設置場所や向き、ファンのスペックなどで最適解は変わってしまうからだ。

 とはいえ、今どきのファンは何かの温度に連動してファンの回転数が制御されるよう設計されていて、よほど極端なファン構成&配置でなければ、おまかせ設定でも十分使える。

 だが、ファンの回転数を調整することで、静音性を「自分好みに」チューニングできる。そこで今回はASRock製マザーボードを利用して「手軽にファンの回転数を調整する」方法を伝授しよう。

検証に使用したASRock製マザーボード「B850M Challenger WiFi White」
今回はCPUクーラーに同社のAIO水冷「Challenger White 360 Digital」を選択した
目次

どういう時にファン回転数を調整したら良い?

 今使っているPCのファンがうるさい、逆に冷却力が足らないと感じたら、それはファンの回転数を調整すべき時だ。ファンの回転数調整では間に合わずファンの増設や交換でしか解決できない場合も珍しくないが、まずは無料でできるチューニングとして回転数調整を試してみるのが良いだろう。

 ファンは回転数を上げるほど多量の空気を動かせるが、同時にノイズが大きくなる。逆に回転数を下げれば静かになる。回転数を調整すると風量とノイズが変わるが、最終的にPCの温度に影響する。PCは冷やさない訳にはいかないので回転数と温度のバランスとりが重要だ。

●長時間ゲームで高負荷をかけるPC
 多少ノイズが増えてもファン回転数を引き上げたい。PC内部の熱気を外に逃がしたほうがシステムの安定性向上につながり、長期的な耐久性向上にも貢献する。

● YouTubeで動画を見るだけPC
 YouTube視聴ならPCの負荷はほとんど上がらない。温度もあまり高くならない場合が多いため、少々ファン回転数を絞っても問題ない。

●ゲームも動画鑑賞もするPC
 CPUなどの温度が上がったら回転数を上げ、温度が下がったら回転数を下げる。ほとんどのファンはこのような設定になっているが、温度と回転数のマッチングを調整することで、冷却力と静音性を最適化できる。

注意:とはいえ、回転数を下げすぎればシステムはオーバーヒートしてしまう。ファンの回転数調整、特に静音方向への調整は自己責任の下で実施してほしい。

回転数を調整できるファン、できないファン

 どんなファンでも回転数が自由に調整できる訳ではない。ファンによっては固定回転、あるいは調整手段が限られているものがある。今回はASRockが同社製マザーボード用に提供しているツール「A-Tuning」による設定方法を解説するが、その前にこのツールで回転数が調整できるファン、できないファンがあることを知っておきたい。

ASRock製マザーボードの場合、「A-Tuning」と呼ばれるツールを使うのが簡単かつ確実だ

●マザーボードに直接接続されたファン:A-Tuningで調整可能
 ASRock製マザーボード上にあるファン用ヘッダーに「直接接続されている」ファンならA-Tuningで調整できる(この世にあるファン全部ではないが、基本的に可能)。複数ファンのケーブルを単純に1つにまとめただけの分岐ケーブルで接続されたファンもこれに含まれる。

●PCケースのファンコントローラーに接続されているファン:A-Tuningで調整不可
 PCケース内にファンの電源を一括管理できるユニット(基板)がある場合、そこに接続されているファンはA-
Tuningでは制御できないことが多い。また、ファン回転数調整ボタンやツマミで調整する機能を持つファンについて もA-Tuningの守備範囲外だ。

●ビデオカードのファン:A-Tuningで調整不可
 ビデオカードのファンはA-Tuningでは調整できない。Radeonの場合は「AMD Software」、あるいはビデオカードメーカーが提供する専用ツールでファン回転数調整が利用できることが多い

●電源ユニットに直結されているファン:A-Tuningで調整不可
 旧世代PCではファンの電源を電源ユニットから直接取得するタイプのファンを使っていることがある。この場合回転数を制御できる仕組みがないので調整することはできない。まれにケーブルに組み込まれたボリュームで回転数を調整できるものもあるが、これについてもA-Tuningの守備範囲外だ。

この図のようにCPUファンやケースファン用ピンヘッダーに直接接続されたファンであれば、基本的にA-Tuningで回転数を制御できると考えてよい。コネクターは3ピンでも4ピンでも問題ない
ファンハブ、あるいはファンコンと呼ばれるユニットに接続されたファンはA-Tuningで調整できない。特に最近のRGB LED用ケーブルも集約できるタイプのファンハブはA-Tuningの守備範囲外だ。図はNZXT製のファンハブ「Controller」
Radeonを使っているなら、ドライバー(AMD Software)に高度なファン回転数の調整機能が備わっているので、これを利用しよう。ただし本稿では主題が異なるので解説しない

A-Tuningをインストールする

 まずはA-Tuningをインストールすることから始めよう。AIに頼らずマザーの公式ページからダウンロードリンクを探すことをオススメする。今回はB850M Challenger WiFi Whiteなので、ASRock公式のこのページへ飛ぼう。

B850M Challenger WiFi Whiteの公式ページ。少しページを下の方にスクロールしよう
やや下にスクロールすると出現する「サポート(赤丸部分)」をクリック
続いて「ダウンロード」へ
このようなリストが提示される。この中にある「ASRock Motherboard Utility」がA-Tuningだ、名称が異なるので注意したい。その右にある「グローバル」のリンクをクリックすれば、ダウンロードが始まる
ダウンロードが終わったら「ダウンロード」フォルダーを開く。そこにある「MotherboardUtility」がA-Tuningのインストーラーが入っているZIPファイルだ。この上で右クリックし「すべて展開…」を選ぼう
ZIPの展開は特に詰まる部分はない。素直に右下の「展開」をクリックすればよい
ZIPが展開され、出現したフォルダーを開く。そこにある「ASRock Motherboard Utility」がA-Tuningのインストーラーだ。これをダブルクリックすると「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」というウインドウが出ることがある、その場合は素直に「はい」をクリックしよう
ようやくここでA-Tuningという名称が登場だ。インストールのプロセスは特に何も考えなくてよい。まずは「Next」をクリック
アプリを導入する時のお約束であるライセンス条項の確認。「I accept the agreement」ボタンを押してからでないと「Next」が押せないようになっている
A-Tuningがどこにインストールされるかの確認。特別な理由がない限り、デフォルトのままにしておくのが良い。ここも「Next」をクリック
ここも何も考えずに「Next」で良い。スタートメニュー内のショートカットに特別なこだわりがなければ、変更しないのが最も安全だ
ここで「Install」をクリックすればA-Tuningのインストールが始まる
この画面になったらインストール終了。画面中央付近の「A-Tuning」にチェックが付いていることを確認したら「Finish」ボタン。これでA-Tuningが起動する
これがA-Tuning起動直後の画面。まずは上方にある「System Info」をクリックしよう

 最初にA-Tuningを起動したらまずは現状確認だ。「System Info」をクリックするとこれからの作業に必要な情報が得られる。

最も重要なのがCPU温度(①)。②のマザーボード温度はケースファンの回転数調整時に役立つ。CPUクーラーのファン回転数は③だが、デュアルファンの場合は「CPU Fan 2 Speed」に出る場合もある。④はAIO水冷のヘッドに組み込まれたポンプの回転数が表示されたもの。⑤はケースファン(Chassis Fan)が3つ。これらファンが0rpm表記の場合、低温なのでファンが停止しているか、物理的に存在しないかの2パターンが考えられる。これは実機のファンを数えて判断すべき部分だ
「CINEBENCH」などを使いシステムに負荷をかけて、ファンの回転数がどんな感じに上昇するのか、CPU温度はどの程度まで上がるのかなどをチェックするとよいだろう。図ではChassis Fan1、つまりケースファン1が回転していることを示す。Chassis Fan2と3にはファンは接続されていないので0rpmのままだ
今回のセットアップ。CPU_Fan1にはAIO水冷のラジエーター用ファンのケーブルを接続。CPU_Fan2には何も接続していない。そして水冷ヘッドの電力は「AIO_PUMP」に接続している。A-TuningのSystem Infoの情報と突き合わせるとイメージしやすくなるだろう

ファン回転数を調整する

 いよいよファン回転数の調整だ。だが調整の前に個々のファンがどのような特性を持っているかを調べておく必要がある。いきなり回転数調整のグラフをいじる前に、必ず「Smart FAN Test」を実施しておこう。数分で終了する。

A-Tuningの「FAN-Tastic Tuning」をクリックすればファン回転数の調整モードになる。まずは左上のメニューで「CPU FAN1」を選び、続いて「Smart FAN Test」をクリックしよう
するとA-Tuningが当該ファンの回転数特性を分析する。しばらく待とう
すると中央に「ファン回転数を10%刻みで設定した時に、実際にどのような回転数になるか」の一覧が出現する。この図の場合、10%なら642rpm、60%なら1448rpmとなる。またこの数値は実測値なのでSmart FAN Testを実行するたびに微妙に変わる。この図では100%の時は回転数が90%より低い値になっているが、こういった場合はもう一度テストすればよい(この表記でも特に動作には問題ない)
ファンが複数付いている場合は、左上の▼をクリックすることでファンを切り替えられる。ただこれはマザーボード上のファン用ヘッダーピンの情報だけで見ているため、実際にファンが装着されていなくてもリストアップされる(だからSystem Infoでの確認が必要なのだ)

 ファンの回転数を調整するには、左にある温度と回転数(%)のグラフの中にある玉を動かせばよい。玉を全体に上げれば回転数が上がり冷却力向上(静音性低下)、玉を下げれば回転数が下がり静音性向上(冷却力低下)となる。低温時は玉を下げ静音性重視、高温時は玉を上げ冷却力重視にする、というスタイルもオススメだ。

グラフの玉を調整することで温度とファン回転数の関係が決まる。図の場合左から2つの玉を全体に下げ静音寄りにする一方、CPU温度が70℃になったら50%回転、75℃で80%回転となるように設定している。ちなみに元の設定に戻すには「Cancel」、決定するには「Apply」をクリック。「Apply All」はこのファンの設定を全てのファンに適用するボタンなので注意が必要

 上で示したA-Tuningのグラフ上で変更した温度と回転数の関係は「Apply」ボタンを押すことで動作に反映される。この設定は「Auto apply when program starts」にチェックを入れることで保存されるという点が重要。逆にチェックを入れないとシステムの再起動ごとにBIOSの設定(後述)に基づき初期設定に戻る。

 常に自分好みのファン回転数設定にしておきたいなら「A-TuningをWindows起動時に自動的に起動する」か、「BIOS設定内で同じ設定を作り込む」かの2通りとなる。まずは手軽に試せるA-Tuningで試行錯誤し、納得のいく設定になったらBIOS設定に落とし込む、という流れも良いだろう。

A-Tuning上部にある「Settings」を開き、そこにある「Auto run at Windows Startup」にチェックをつければ、Windowsが起動したら自動的にA-Tuningが起動し、「Auto apply when program starts」を付けたファンの回転数設定が自動的に適用される

 さて、この温度-ファン回転数の関係を示したグラフにおける「温度」は調整するファンにより意味するものが変わってくる。CPU Fan1およびCPU Fan2は常にCPU温度に従うが、これに対しChassis Fan1〜3はデフォルトではマザーボード温度(MB Temp)に従う。ただこれは手動でCPU温度に従うように変更することも可能だ。

Chassis Fan1〜3はどの部位の温度に従うか指定できる。図のようにCPU/ マザーボード、T_SENSOR 1という3種類が選択できる。T_SENSOR 1とは、マザーボード上にあるヘッダーピンのことで、そこにサーミスターを接続して使用する。これを利用すればビデオカードに貼り付けたサーミスター温度とケースファン回転数を連動させることが可能だが、自分でセンサーを組み込んでいないと使えない
AIO水冷のポンプ(AIO_PUMP)はデフォルトではこのような設定になっていた。グラフから分かる通り温度に関係なく最高速設定だが、AIO水冷のポンプの場合、温度によって可変にするとポンプへの負荷が増えて故障の原因になったり、回転数変化時にノイズを発したりするようになるので固定回転が推奨される。100%でうるさいと感じるなら80〜90%程度の固定回転数を試してみよう

 ファン回転数の最適解を割り出すのは結構大変だ。そのPCのセットアップごとに最適解が変わってくるし、室温の影響も受けやすい。自分で負荷をかけながらあれこれ調整し、自分なりの最適解を探してみよう。

BIOSでもファン回転数は調整できる(中級者〜向け)

 ここまで解説したA-TuningはWindows上で動作するので手軽でよい。だがマザーボードのBIOS設定に組み込まれた「FAN-Tastic Tuning」を使うというやり方もある。A-Tuningほど手軽ではないが、「Silent(静音)」「Standard(標準)」「Performance(性能)」「Full Speed(全開)」の4段階からプリセットを選べる。ざっくりBIOSで設定してからA-Tuningで微調整するのもオススメだ。

 BIOS設定画面の入り方は電源オン直後に「DEL」キーを押しっぱなしで入ることができる。ただBIOS設定は間違えるとシステムの安定性を損なう設定項目もあるため、A-Tuning以上に慎重に行うことをオススメする。

BIOS設定に入ったら上部の「H/W Monitor」をクリック。A-TuningのSystem Infoと同じように接続されているファンの回転数が表示される
画面をH/W Monitorの下の方にスクロールすると、ファン回転モードの大雑把な設定がメニューで選べる。図はCPU Fan 1がSilent、すなわち静音重視設定になっていることを示している。これを変更したい場合はメニューから選ぶだけ。他のファンにも同じようにモード設定が可能だ
H/W Monitorの最下部にある「FAN-Tastic Tuning」を選ぶとこの画面に切り替わる。左上にある「All Fans Setting」は全てのファンに対しざっくりと設定をするためのもの。上に並ぶSilent/ Standard/ Performance/ Full Speedを順番にクリックしてみよう。図は静音重視のSilent設定の場合。変更したら右下の「Apply」をクリックすれば保存される。元のBIOS設定画面に戻るには「Exit」だ
これはStandard。低負荷でもファンは常に50%で回っており、CPU温度が40℃を超えたところでほぼ一定のペースで回転数が上昇する
Performance設定は文字通り性能重視設定。つまりファンをガンガン回して高負荷に備える設定だ。ただしファンの音はうるさくなる
Full Speedについて解説は不要だろう。ファンが常に最高速で回るため冷えはするが常時うるさい
A-Tuningのようにファンごとに回転数を変更したい場合は、左側からファンを選び、さらに右上の「Customize」を選ぶ。あとはA-Tuningと同じ要領でグラフの形状を変えればよい
玉を動かしているところ
調整完了。右下の「Apply」ボタンを押してから「Exit」するのを忘れないように
BIOS設定に戻ったら、この設定をセーブする必要がある。キーボードの「F10」キーを押し「Yes」をクリックするか「Enter」を叩くことで変更内容が保存され、自動的に再起動がかかる

あまり根を詰めないのも重要

 ファン回転数調整の最適化は奥深い。ファンの固定する位置や向き(吸気か排気か)でも様子が変わってくる。ベストな設定に追い込んでも、季節が変わるとまた最適解も変わってくる。そしてその先にあるのは理想のファン探しというとてつもない沼だ。そこまで到達するとまた別の楽しさがあることは確かだが、ほどほどにしておくのが経験者からのアドバイスだ。

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