- 文●いちえもん 編集●ハッチ

『Tattoo Tycoon』は、THQ Nordic傘下のHandyGamesが販売、CrazyBunchが開発を担当した「タトゥーショップ」のシミュレーションゲーム。2025年10月24日よりPC(Steam、Epic Games Store、GOG.com)、Xbox Series X|S、PlayStation 4、PlayStation 5で販売中だ。
お店を経営するシミュレーションゲームは数あれど、タトゥーショップにフォーカスしたゲームは本作が初ではないだろうか? はっきり言って珍しい。珍しい内容だからこそ、本作をプレイしてみたいという気持ちが強く芽生えた次第だ。
そこで今回は、『Tattoo Tycoon』のプレイレポートをお届けしたい。なお、執筆時点だと本作は日本語に対応していない。そのため本作をプレイする際は日本語の実装を待つか、翻訳アプリ等を駆使してプレイすることを推奨する。

タトゥー店をイチから立て直す経営シミュレーション
『Tattoo Tycoon』の舞台となる「タトゥガ・ベイ」はかつてタトゥー文化の街として栄えていたが、経営難などでタトゥーショップは次々と閉店。最後に残ったのは主人公が働くお店のみとなったわけだが、経営不振により閉店を余儀なくされる。
最悪の幕開けとなったが、タトゥーアーティストを目指す主人公の提案によりもう一度頑張ってみることに。



本作の目的は、街最後のタトゥーショップを繁盛させること。経営未経験の主人公にお店を任せるとは無謀と言うほかないが、「やるっきゃない」のノリで店長兼タトゥーアーティストとして働くことに。タトゥー文化の再興は、主人公の手腕にかかっているというわけだ。

タトゥーを彫るだけでなく、お店の内装をデコレーションしたり機材のメンテナンスをしたりするなど、タトゥーショップの仕事は多岐にわたる。日本語未実装も相まって難しそうに見えるが、中学・高校生レベルの英語力と店舗経営系シミュレーションゲームのプレイ経験があればなんとか遊べる……と思われる。

本作の基本的な流れは、1日の間で営業を行うこと。開店と閉店のタイミングはプレイヤーの自由となっている。閉店後に帰宅すれば1日が終わり、その日の売り上げ報告を確認してから次の日へ進む。売り上げを出しつつ、各種イベントをこなすことでストーリーが進んでいくわけだ。




注意すべきは、ステータスの概念があることだ。「インスピレーション」はアイテムなどのアンロックに必要なもので、「エネルギー」は1日の作業に欠かせないスタミナのようなものだ。
とくにエネルギーをすべて消費すると仕事が一切できなくなるため、椅子に座って休憩する必要がある。お店を営業するうえで、金銭やリソースだけでなくステータスの管理も必要不可欠だ。


客が好きそうなタトゥーを彫り、利益を生み出していく
利益を出す秘訣は、「客が好きそうな内装にすること」と「客が好きそうなデザインを聞き出すこと」の2点。要は、できる限りニーズに応えて顧客満足度を上げることが肝になっている。



まず、椅子やテーブルなどの「家具」に加え、絵画や植物、照明、カーペット、壁紙などの「インテリア品」、そしてちょっとした利益になる「自動販売機」などを店内に設置できる。各アイテムはインスピレーションでアンロックし、資金で購入すれば設置可能だ。


それぞれのアイテムには、数種類の嗜好アイコンが設けられている。客が求めている嗜好アイコンのアイテムをバランスよく配置することがコツだ。
客が店の内装を気に入ったら主人公に仕事を依頼する一方で、内装が気に入らなかったら帰ってしまう。とどのつまり、内装のデコレーションは集客に不可欠な作業と言っても過言ではない。


お店の内装を気に入った客は、タトゥーを彫ってもらうべくカウンターへと向かう。注意すべきは接客の待ち時間だ。早く受付を済ませないと、客は怒って帰ってしまうからだ。

カウンターで客の好きなデザイン、嫌いなデザインをヒアリングし、彫るタトゥーの方向性を決めていく。選択肢をひとつ選ぶとフォーカスが少し消費され、すべて消費するとデザインの提案に移行する。会話の選択肢から適したものを選び、好き嫌いを見つけるイメージだ。
最も英語力が問われる部分だが、選択肢を選ぶと好きなデザインと嫌いなデザインがアイコンで表示されるため、「なんとなくこれかな?」の気持ちで選択肢を選んでいいかもしれない。

デザインの方向性が決まったら、客の好みに合うタトゥーのデザインを選択する。好きなデザインのアイコンが付与されたものを提案し、客に気に入ったらいよいよタトゥーを彫る作業へ。ただし、好みではないサンプルを提案すると客は怒って帰ってしまう。



デザインの方向性が決まったら、メインどころとなるタトゥーを彫る作業へ。内装のデコレーションと接客はシミュレーションゲームらしさがあるが、タトゥーを彫る作業はアクション性の高いミニゲームとなっている。

ミニゲームの内容は、タトゥーの形に従って線をなぞるだけだ。リアルとは言いづらいが、ゲーム内でタトゥーを彫る体験が味わえる点に本作独自の面白さを見出せた。


遊び方は線をなぞるだけだが、慣れないうちは難しく感じるかもしれない。彫っている最中は電動の影響でブレてしまい、線に沿ってうまく彫れないこともあるからだ。さらにタトゥーを長く彫っていると客が苦痛を漏らすため、休憩をはさみながら彫らなければならない。

「彫る→休む→彫る……」を繰り返してゴールに到達すれば、タトゥーのミニゲームはクリアとなる。うまく彫ることができれば客の評価が上がり、報酬も美味しくなる。


ちなみに、タトゥーを彫る作業は「手動」か「自動」のいずれかを選ぶことができる。自分で彫るのが面倒だと思ったら自動での操作に頼ってもいいが、成否にばらつきがあるので注意してほしい。

そのほかの作業は、荷物の片付けや機材のメンテナンス、ブレインストーミング、スキル獲得、スタッフの雇用など。仕事の合間に行なってもいいし、開店準備および閉店後に行なってもいい。どの作業も売り上げに関わる要素なので忘れずにやっておきたいところ。





売り上げの創出や課題の達成などで経営レベルを上げていくと、ストーリーやクエストが次々とアンロックされていく。1日の繰り返しは遊んでいくと単調になりがちだが、やり込み要素が充実しているため飽きずに遊べそうだ。

© 2025 THQ Nordic AB Sweden. Developed by CrazyBunch. Published by www.handy-games.com GmbH Germany. Tattoo Tycoon, THQ, THQ Nordic, HandyGames, and their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of THQ Nordic AB. All rights reserved. All other brands, product names, and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners.
まとめ:簡素なゲーム性と飽きさせない工夫が魅力
『Tattoo Tycoon』を2時間ぐらい遊んでみたところ、内容の翻訳に悪戦苦闘したものの、ゲーム自体はシンプルでわかりやすいものだった。シミュレーションゲームは難しい印象が強いが、本作は比較的やさしい部類に入るだろう。また、タトゥーを彫るミニゲームやクエストなど、飽きずに遊べる工夫が施されているのも印象的だった。
プレイの手触りは良好で、時間をかけて遊べば本作の面白さがわかってくるだろう。ゲームを進めれば新たな機能やイベントが追加されるなど、より面白くなるのではないかと予想している。
日本語に未対応ということころは残念だが、義務教育英語レベルでも分かるし、翻訳ソフトを駆使してみれば英語の勉強にもなるかもしれない。そんなタトゥーショップの経営シミュレーションゲームというジャンルが気になる人は、『Tattoo Tycoon』をプレイしてみてはいかがだろうか?

コメント