- 文●藤田 忠 編集●ハッチ

”熱伝導グリス”は、CPUのヒートスプレッダーに塗布することで、CPUクーラーとの接触面の隙間を埋め、熱を効率良く伝えるためにかかせないアイテムだ。AMD、Intel CPUともに重要なポイントだが、AMD Socket AM5のRyzen CPUでは、グリスの塗布の仕方に、若干注意が必要となっている。
なぜならAM5のRyzen CPUは、ヒートスプレッダーが凹凸のある独特な形状をしている。そのため、グリスの量が多すぎると意図せずはみ出してしまい、ヒートスプレッダーと基板の隙間に入り込んでしまうことも。薄く塗布すれば問題ないのだが、サクッと解決できるアクセサリーがある。それが、”AM5 グリスガード”(CPUガードプレート)と呼ばれるものだ。
LevelUp Logyのハッチ社長は、特に気にせず選んだ製品を使用していたようだが、SNS上でDEEPCOOL「AM5 Thermal Paste Guard(型番:R-AM5TPG-CUNNAN-G)」が、”良い”というコメントを目にしたそうだ。そこでハッチ社長自ら5種類の製品を購入。どのような違いがあるのか、試してみることにしたのだ(でも、テストはこっちに丸投げです)。

ハッチ社長が選んだ5種類はコレ
●DeepCool「AM5 Thermal Paste Guard(型番:R-AM5TPG-CUNNAN-G)」






●ElecGear「CPUサーマルペーストガード」(型番:LGA1718-TPG)





●Thermalright「AM5 SECURE FRAME RED」(型番:TR-AM5-SF RED)」



装着感はElecGear「AM5 CPU GUARD」が好適
SNSで良いとハッチ社長が目にしたDeepCool「AM5 Thermal Paste Guard(型番:R-AM5TPG-CUNNAN-G)」から、Ryzen CPUに取り付けてみた。

DeepCool「AM5 Thermal Paste Guard(型番:R-AM5TPG-CUNNAN-G)」の取り付けには、ひと癖ある。向きを合わせてヒートスプレッダーに置くだけでは、一部がハマらずに浮いてしまう。製作精度の差ではなく、敢えてそうしているようだ。
プレート表面を指先で触り、浮いている部分を押し込むことで、パチッとハマる。ヒートスプレッダーと隙間なく、ハマることでグリスの漏れを防ぐだけでなく、プレートへの熱移動にも期待できそうだ。ただ、押し込まずにハマる箇所は、わずかに隙間があるので、グリスが入り込んでしまうだろう。
続いて試したのは、銅素材プレートを採用したアイネックス(PentaWave)「MK-04C」だ。

形状はDeepCool「AM5 Thermal Paste Guard(型番:R-AM5TPG-CUNNAN-G)」と同じだが、こちらはヒートスプレッダーに置くだけで、スッポリとハマるようになっている。そのため、グリスを盛りすぎると、若干隙間に入り込んでしまうが、グリスガードの役割はしっかりと果たせそうだ。
3製品目はグリスガードとしては最も効果ありそうなElecGear「CPUサーマルペーストガード」だ。

シリコン素材を採用しているので、ヒートスプレッダーの凹凸部分に、ギュッと押し込む必要があるが、装着感は抜群でしっかりと隙間を埋めている。ただ、素材が熱を持ってしまいそうではある。冷却性能にどの程度影響を与えるのか気になるところだ。
4製品目はケースファンと空冷CPUクーラーでおなじみのNoctua製ではあるが、微妙な印象が拭えない「NA-STPG1」だ。

プレートはヒートスプレッダーに対して少し大きめにくり抜かれているため、乗せるだけでオッケーだ。ただ、隙間は大きめなので、グリスを盛りすぎると、漏れてしまいそうだ。
最後は使用して、CPUやマザーボードが故障した場合、自己責任となるThermalright「AM5 SECURE FRAME RED(型番:TR-AM5-SF RED)」だ。ここでは、取り付けの流れも軽く説明しておこう。




「AM5 SECURE FRAME RED(型番:TR-AM5-SF RED)」は、CPUソケットの反り防止が第一のため、ヒートスプレッダーとプレートの隙間は大きめと言える。プレートを外す際に、過ってCPUがズレ、グリスがソケットピンにベッタリと付いてしまうなんてことも、ゼロではない。グリスの盛りを含めて、扱いは慎重に行いたい。

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