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環境によって規定値以上の速度が出ることも!?Cat5からCat8のケーブルで10G回線&対応PCの現家庭用最強環境で速度を計測してみた

  • 文●ハッチ

 無線LANルーターは今までも何度か検証記事を作ったが、10GbE(Gigabit Ethernet)対応のPCやLANカードは少ないため、有線LANケーブルの違いや、速度検証の記事は作ったことがないなーと思っていた。そんななか、編集部の回線を10Gbps対応にして、10GbEのハブも揃え、10GbEポートを備えたルーターとマザーボードを借りる機会があった。

 そこで今回は、あまり解説されないLANケーブル規格の違いや、実際家庭環境で揃えられる10Gbps環境にて、LANケーブルの違いで速度に違いが出るのか、簡単に検証してみた。

目次

Cat5eでも1Gbps以上の通信ができる理由とは?

 無線LANは、近々Wi-Fi 8になるなど新しい規格が話題に上がるが、実はLANケーブルも規格があり、その規格によって性能が異なることをご存じだろうか。実はLANケーブルを扱うメーカーサイトには、その規格の違いが紹介されている。

 LANケーブルはCat(カテゴリ)<数字>で通信規格を表している。量販店に行くと、このカテゴリで分類されてLANケーブルが販売されているのを見たことがある人もいるだろう。このカテゴリごとの違いは以下のとおりだ。

 伝送帯域とは、通れる周波数の幅のことで、この数値が大きいほど高性能で、一度に多くのデータが運べる。ゆえに大容量データを送る際はこの数値が大きい方がスムーズにデータを転送でき、通信の混雑や速度低下を防ぐ。ただし、ネットで動画を見ているだけ、PC1台でゲームをプレイしている程度では、速度の差はほぼない。

 業務用では100Gbps回線もあるが、現状10Gbps回線が増えてきているが、未だ1Gbps回線を使っている家庭がほとんどと考えると、実のところ1Gbps回線の家であればCat5e以上のケーブルであれば、基本的に問題ない。では、10Gbps回線を契約している場合は、必ずしもCat6A以上のケーブルを使わないと、1Gbpsで頭打ちになるのかというとそうでもない。

 IEEEのGigabit Ethernet規格であるIEEE 802.3abでは、1000BASE-T(1Gbps)は4つのCat5配線システムで動作するように規定されている。また、100mまでのCat5にて信頼性のある伝送を提供するとしている。

 また、高速な最大10Gbpsの通信機器増加が見込まれるなか、2016年9月にIEEE 802.3bzというEthernet規格が承認された。IEEE 802.3bzは、大量に普及しているCat5eやCat6のケーブルをそのまま使って、対応する有線スイッチなどにより1Gbps(規格値)以上、2.5/5GBASE-Tの伝送速度を実現する。

 さらに、2006年には最大10GBASE-T(10Gbps)の通信が可能な技術であるIEEE 802.3anが承認されている。各Ethernet規格とLANケーブル規格の対応は以下のとおりだ。

※10Gbpsで通信できるのは55mまでのケーブル。55m以上、100m以下の場合は1Gbpsになる

 実際にSNSやヤフー知恵袋などでは、ケーブルはCat5eなのに10Gbps対応デバイスに接続すると、1Gbps以上速度が出ていた、といった報告がある。

 そこで今回は10Gbps回線から、10GbEのWANとLANポートを備える最高峰のルーターを接続し、10GbEポートがあるマザーボードを搭載した検証PCで通信速度を測定してみた。

一般家庭で使う程度の長さのケーブルと、低負荷なら速度は大きく変わらない

 編集部は横浜市の古いビルにあるのだが、横浜市のケーブルテレビのYOUテレビの通信ケーブルが使えるようになったため、Netyou光の10Gbps回線と契約している。通信速度は、Googleのインターネット速度テストを使用した。光回線終端装置「ONU」から、直接10GbE対応のPC環境と接続した測定結果は以下のとおり。6回測定した結果で、最も良いものから3つまでの平均を採用している。

 通信速度テストには、ASUS「ProArt X870E-Creator WiFi」をベースとした、テスト環境を検証台のうえで組んで、10GbEポートにCat8のケーブルを接続して測定している。

マザーボードには、10GbEと2.5GbEの2つのLANポートを備えたASUS「ProArt X870E-Creator WiFi」を使用した
10GbEのLANポートに接続して通信速度を検証している
直接テスト環境にLANケーブルを差した際の通信速度

 1人暮らしの人の場合は、光回線終端装置「ONU」から直接PCに有線接続する人もいると思うが、基本的にはスマートフォンを使うことも考えれば、無線LANルーターを接続して、ルーターのポートからPCやゲーム機に接続する人がほとんどだろう。そこで、別途製品レビュー用にお借りしていた、10GbEのWAN/LANポートが2つある、ASUSのAI搭載ルーター「ROG Rapture GT-BE19000AI」を使って、LANケーブルごとの通信速度を計測してみた。

ルーターにはASUS「ROG Rapture GT-BE19000AI」を使用

 ケーブルは、Cat5のものは正直いつどこで手に入れたのかも分からない古いもの、Cat5eとCat6のケーブルは黒い一般的な丸形ケーブルで、これも何かのデバイスの付属品だったのか、自分で購入したのかも不明。Cat6Aはフラットな10mケーブル。おそらく、サンワサプライの「KB-FL6A-10BL」と思われる。

 Cat7ケーブルは編集部になかったが、借りていた「ROG Rapture GT-BE19000AI」の付属ケーブルがCat7だったため、こちらを使用した。Cat8はエレコム製のフラットケーブルをONUとルーターの間で使用し、ルーターと検証用PCとの間は外周シールドに加え、各ペアケーブルごとにシールドを施したScTP(Shielded Twisted Pair)のケーブルを使用した。

LANケーブルは、編集部のボックスに保管していたCat5からCat8までのケーブルを使用した
大抵のケーブルは、規格が印字されている
DLはダウンロード、ULはアップロードの測定結果

 通信速度計測は、普通に活動時間である午後一から夕方までの期間に行っている。そのため、時間や周りの環境によって多少の速度の変化は起こるうえ、3回程度の回数では揺れもあるのであくまで参考値程度だが、100Mbps保証のCat5はがっつり速度が下がり、930Mbps前後と1Gbps以下まで下がっているが、Cat5e以降は5Gbps~10Gbspでリンクし、4500~6000Mbps範囲と高い速度を維持している。

 しかしながら、やはりCat5eはアップロードで、平均で4500Mbpsを切り、ダウンロードも5000Mbpsを割っている。Cat6はアップロードこそ、やや高くなっているが、ダウンロードは相変わらず5000Mbpsを下回っている。

 Cat.7以上になるとダウンロードは、まだそれでも5000Mbpsを下回ることもあるが、アップロードは5500Mbpsを超えている。また、Cat.7とCat.8のScTPは、ダウンロードも5500Mbpsを超え、高い安定性を見せている。

 ちなみに、フラットケーブルは柔らかく曲げやすいというメリットがある。しかしながら、隣接するペア間の干渉が発生しやすいクロストークや、電磁波ノイズの影響が受けやすく、物理的損傷にも弱いというデメリットがある。くるくると巻きやすく収納しやすいため、万が一長いケーブルが必要になった時用に30mだけを所持していたが、速度に影響が出ると言われる100mの3分の1程度では、目に見えた速度減衰は見受けられない。

 また、今回のように1つの部屋の中で数メートルから数十メートル程度のLANケーブルでの接続では、速度の差はあまり大きくはない。そのうえ、巨大なデータ転送や、何十台ものデバイスで同時通信するようなことでもない限り、それほど大きな差はないことが分かる。

 とはいえ、規格の仕様上と結果を見る限り、1Gbps以上の高速な光回線を契約していて、これから追加してLANケーブルを購入するならば、最低でもCat6A、できればCat7以上が望ましい。

新規格やシールド対応のケーブルは安心感がある

 今回の検証ではCat8のフラットケーブルも、ノイズに強いScTPケーブルよりは、安定して5000Mbps以上のダウンロード速度が出ていないので、多少速度の安定性に影響はある。編集部では家電もエアコン程度と、電子レンジのような電磁波を出す家電がないのも、速度の揺れに繋がらなかった可能性もあるため、どの電子機器が影響を与えるか分からないと考えるなら、帯域幅が広い新規格かつシールド付きは安心感あるとも言える。

 ただし、大本の回線が速ければ、LANケーブルが足らず古いケーブルを一時的に使用しても、Cat5e以上なら2.5G、5G以上でリンクして、そこそこ新規格のケーブルに近い速度が出ることもあるので、まったく速度が出ない時は、まずはLANケーブル以外を疑った方が良いかもしれない。

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