- 文●ハッチ
CPU性能は人気モデルとほぼ同じ性能
では、次にCPUの性能をチェックしていこう。筆者は初代GPD WINからゲーム機型PCの性能をチェックしているので、まずはこれまで計測し続けてきたデータと比較するためのベンチマークソフトで計測してみたい。
筆者が所持している初代GPD WINは、Cherry Trail世代のAtom x7-Z8750(クラウドファンディングモデルや発売時期によっては異なる)を搭載しているが、最新のCinebench 2024には対応していないため、当時使用したCINEBENCH R20で「TENKU LUNA」も測定して、CPU性能を比較してみたい。
今まで借りて来た製品の結果も含まれるため、「TENKU LUNA」以外は最新のOS、ドライバーではなく、あくまで各機種の記事執筆時点での結果だ。そのため、あくまで参考値として欲しい。

CINEBENCH R20の結果は、コア数や動作クロックが同じなため、Ryzen Z1 Extremeにやや負けているが、互角に近い性能を示している。当たり前だが、同じCPUを搭載するONEXFLYとZOTAC ZONEとほぼ同じ。発売が後発でドライバの成熟が進んでいる分もあるのか、若干ONEXFLYとZOTAC ZONEの結果よりも勝っている。
一応、最新のCINEBENCH 2024でもスコアを計測。

結果はCINEBENCH R20と同じ。Ryzen Z1 Extreme搭載のROG Ally Xにはやや負けているが、ほとんど同じといった性能を示している。3DMarkの「CPU Profile」でも計測。特におかしな動作もなく、シングルスレッド性能どおりにスコアが伸びていることが分かる。

『ドラゴンクエスト10』ベンチは若干低め
今度は古くから軽いゲームの定番となっていて、初代GPD WINから計測を続けている『ドラゴンクエスト10』ベンチマークソフトの結果と比較してみた。ちなみに、初代GPD WINなど古い機種は、解像度が1280×720ドットと低かったため、解像度はそれに合わせ、画質は「標準品質」として計測している。

GPU性能に関しては、同じ12コアで古い世代のRadeonを搭載している製品に何故か負けるほど、11000に届いていない。ただし、CPUの傾向としては同じで、同じCPUを搭載するZOTAC ZONEとONEXFLYには若干勝っている。

解像度を1920×1080ドットのフルHDにして、最高品質でも計測した。スコアは9433の「とても快適」評価。最高評価の「すごく快適」に届いてはいないが、特に問題なく快適に遊べそうだ。
3DMarkではメインストリームの製品とほぼ変わらないGPU性能
GPUの定番ベンチマークソフトである「3DMark」の結果もいくつか見ていきたい。古い機種との比較は「Fire Strike」と「Time Spy」だけで比較。それを含めて「Claw A8 BZ2EM」だけ計測した複数のテストも図版化しておく。


3DMarkは、同じCPUを搭載するZOTAC ZONEが『ドラゴンクエスト10』ベンチよりは、Ryzen Z1 Extreme搭載機にスコアで詰めているなか、FireStrikeだと500ほど低い結果になっている。TimeSpyだとその差は縮まっているが、若干GPU性能が低い傾向にある。
最後にいくつか実ゲームのフレームレートをCapFrameXで測定した結果をご紹介したい。



ニトロプラスとNetEase Gamesがタッグを組んだ2.5D横スクロールアクションゲーム『Rusty Rabbit』は、見た目に反して若干重いが、以前なら「中」設定程度ならハンドヘルドPCでも900p以下なら60fpsで動作していたが、1280×720ドットでも平均38.4fpsと若干動作が厳しい感じだった。
アトリエシリーズ最新作『ユミアのアトリエ』は、画質が最低設定の「Low」で、1280×720ドットなら平均42.6fpsで、最小値も29fps前後とほぼ30fpsでそこそこ快適に遊べた。
評価の高いフランス産RPG『Clair Obscur: Expedition 33』は、やはり画質「低」で、1280×720ドットなら平均55fpsとまずまず。ターン制RPGながらタイミング良くボタンを押してカウンターなどを行う独特のシステムは、フレームレートの影響をそこそこ受けるので、これぐらいの設定でのプレイが望ましい。
必要最低限な機能を搭載し、価格を抑えた1台
TENKU LUNAはCPUがAMD「Ryzen 7 7840U」とやや古いとはいえ、2年前のゲーム機型PCの主力モデル。また、メモリー32GB、1TB SSDと十分な性能を有している。
たとえば、2年前に発売されたROG Allyは、メモリー16GBで、512GB SSD、USB 3.2 Gen 2 Type-Cが1つのみで現在7万円台後半だ。そのため、2~3年前の中古の良品を買うなら間違いなしと推奨できる、8万6900円と魅力的な価格に収まっている。

今回の検証結果だけ見れば、ゲームによって多少低めな結果なのが少し気になるが、サーマルスロットリングに入るほどに冷却性能が足りていないというほどではない。製品を借りたのが発売前だったこともあるので、ドライバの成熟性や相性によっては、競合の他の既存機種並みに設定次第で、ある程度のPCゲームが遊べるといった感じだ。
また、USB4を備えているため、USB 3.2 Type-Cのみしか対応していなかった初代ROG Allyなどとは異なり、セット販売されていた「AYANEO Starship Graphics Dock AG01」のようなeGPUボックスを併用することで、GPU性能をゲーミングノートPC並みに底上げできる。8万円台という高コスパで、それを実現していた点もうれしいところ。
残念なのはすでに売り切れていて、再販の可能性が低そうな点だ。メルカリで中古が出たこともあるが、それもすぐに売り切れている。この価格帯で変えるなら、と考えている人は、中古で見つけたら購入を早めに決めるのが良さそうだ。
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