王道ファンタジーの醍醐味が詰まった少年少女の冒険譚
次は『空の軌跡 the 1st』のストーリーや世界観について述べよう。本作の主人公は、少女「エステル」と少年「ヨシュア」。2人は魔獣退治・犯罪防止などに努める職業「遊撃士(ブレイサー)」に憧れを抱いていた。
エステルもしくはヨシュアを操作し、試験を受けるところから物語が始まる。



ある日、エステルの父であり遊撃士の「カシウス」は、2人を置いて旅立ってしまう。試験に合格して「準遊撃士」になったエステルとヨシュアは、カシウスが引き受ける予定の仕事を代理で引き受けることになる。カシウスの旅立ちを機に、2人の冒険譚が始まる……。



以上が、『空の軌跡 the 1st』の簡単なあらすじだ。本作を試遊して最初に心を惹かれたのは、古き良き王道ファンタジーのストーリー。外の世界を知らない少年少女が冒険の旅に出る展開は、RPGの王道と言っても過言ではない。世界観の説明でワクワクが止まらなくなったものだ。

外の世界へと飛び出したい内なる衝動、少年少女が様々な葛藤を経て大人へと成長するドラマ、旅で知り合った人々との交流、そして世界を救う戦いなど、王道ファンタジー作品の醍醐味は枚挙にいとまがない。
時代が変われども、王道の魅力を余すことなく、忠実に取り入れた作品は懐かしい感情が湧いてくる。『空の軌跡 the 1st』もその作品のひとつだった。


『空の軌跡 the 1st』の序盤には王道ファンタジーの醍醐味が多く詰まっていて、不思議と冒険心が熱くなってくる。21年前の作品とはいえ、エステルとヨシュアの姿を見ていると、2人の旅を最後まで見届けたいという気持ちに駆られるのだ。
筆者は「軌跡」シリーズは今回が初プレイなのだが、実際に試遊してみて「これは最後まで遊んでみたいかも」と純粋に思った。
「直感操作」か「コマンド操作」を選べる戦闘システム
『空の軌跡 the 1st』の戦闘システムは、「クイックバトル」と「コマンドバトル」の2種類。前者は直感的な操作、後者は従来のコマンド操作が可能となっている。2種類の操作をボタンひとつで切り替えられる戦闘スタイルも、本作の特徴のひとつだ。


まずクイックバトルは、フィールドを徘徊している敵に直接攻撃したり、攻撃を回避したりして戦うものだ。TPSのアクションゲームを遊んでいる感覚に近いだろう。
各キャラクターの通常攻撃をしつつ、バックステップやローリングで攻撃を回避し、「クラフト」と呼ばれる必殺技で敵に大打撃を与えていく。直感的な操作がしたい人や、素早く戦闘を終わらせたい人に適していると感じた。



一方、コマンドバトルは文字通り、コマンドを操作して戦っていくスタイルだ。JRPGでおなじみのコマンドバトルも楽しめるようになっている。慎重に行動したい人や、落ち着いた状況で戦略を練りたい人向けと言えるだろう。
クイックバトルと違い、コマンドバトルは敵味方の行動順や位置取りが重要になる。とくにクラフトは攻撃範囲がそれぞれ異なるため、最適な位置取りが不可欠なのだ。加えて、アーツは発動時間がかかったり、クラフトは発動後の硬直時間が長くなったりするデメリットも存在する。



また、スタン状態の敵に対して「ブレイブアタック」を発動できる。ブレイブアタックは連携技の「チェインアタック」と、別の味方が追加攻撃を行う「追撃」だ。発動するには「ブレイブゲージ」を消費させる必要があるが、戦況が有利になるほどの大ダメージを期待できる。


加えて、クイックバトル中に敵をスタンさせてから、□ボタンでコマンドバトルに切り替えると「先制ブレイブアタック」を発動可能。つまり、先制攻撃ができるというわけだ。クイックバトルからコマンドバトルに切り替えた際、敵の数を減らすうえで有効な手段と言えるだろう。



もちろんクイックバトルかコマンドバトルのいずれかで進めても問題ないが、クイックバトルとコマンドバトルの併用もなかなかに強力だ。
結局のところ、どのような戦術で敵と戦うかはプレイヤー次第。幅広い戦術を駆使できる点が、『空の軌跡 the 1st』独自の面白さではないかと考えている。
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