- 文●いちえもん 編集●ハッチ

『いのちのつかいかた』は、個人ゲーム開発者「だらねこげーむず」が手がけたゲームブック風RPGだ。2022年5月21日からアーリーアクセス版が販売され、2025年11月26日から正式にリリースされた。価格は2380円。プラットフォームはPC(Steam)。
今回はそんな『いのちのつかいかた』のプレイレビューをお届けしたい。興味がある人は、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いだ。
ゲームブックとTRPGの要素を取り入れたRPG
『いのちのつかいかた』の主人公は、村に舞い降りた巨大竜に家族や同胞を殺され、唯一生き残ったウサギの青年・ゴーシュ。災厄を機に‟呪い”の力を得たゴーシュは、大事なものを奪った竜を討伐すべく復讐の旅に出るといった内容だ。
ゲームマスター的な語り手が状況を説明する、ダイス判定(後述)など、本作はゲームブックとTRPGがモチーフになっている。プレイヤーは、数々の選択と戦いを通して数奇な旅を体験することになる。旅の先にあるのは希望か、それとも絶望か……。複数ある結末をすべて見届けることがプレイヤーの使命だ。


本作は、マスを一個一個進めてエリアを探索していくタイプだ。マスを踏むと、ストーリーイベントや戦闘イベントなどが発生する。わかりやすく例えると「すごろく」に近い。

各種イベントはプレイヤーの選択肢で進行するのだが、「成功」と「失敗」の概念がミソとなっている。何かアクションを起こそうとすると、TRPGのように「ダイス判定」が発生し、表示された数字で行動の成否を決める形だ。ダイス判定は古き良きルールのひとつではあるが、昨今のJRPGにはない選択の重みを体感することができた。



戦闘が有利になるか否か、戦闘を回避できるか否か、敵に見つからずに行動できるか否かなど、ダイス判定に左右されるイベントは多岐にわたる。ダイスの結果で状況が変化するため、何が起こるかわからないスリルが味わえるのだ。これもまたTRPGの面白いところである。
個人的には、善悪のいずれかを選べるところに好感を抱いた。善の心で殺伐とした世界に光をもたらすか、それとも悪の心で己の欲を満たすか。自分なりのロールプレイを創造し、自分なりの世界に没入できる点も本作の魅力と言えるだろう。


さらに、主人公のステータス状況がダイス判定に影響を与えることも。各ステータスを成長させることで、ダイス判定の難易度が下がる可能性があるのだ。これから本作を始める人に、「ステ振りは大事!」と伝えておきたい。

主人公の成長に応じて行動の幅が広がっていく面白さが、本作の醍醐味であると感じた。ゲームブックとTRPGの旨味を堪能しながら、本作の世界を練り歩く贅沢が味わえるのは実に良いことだ。

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