- 文●いちえもん 編集●ハッチ
物語の結末に影響する「執着度」が重要
『いのちのつかいかた』独自の特徴として、主人公の「執着度」が挙げられる。基本のステータスとは別で、「命への執着」と「力への執着」のステータスも存在する。2種類の執着は、選択肢の結果で増減する仕組みになっている。
命に執着すれば「生への渇望」が強まり、力に執着すれば「暴力への渇望」が強まっていく。主人公はパーセンテージが高い執着度に依存しており、ストーリーの進行に応じて考え方も変わっていく。



本作はマルチエンディングを採用していて、一方の執着度を高めることでストーリーの進行内容も結末も変化する。たとえば1周目は命に執着し、2周目は力に執着するといった周回プレイが可能だ。そう考えると、本作のプレイボリュームはかなり高いと感じられる。
QTEの要素を取り入れたコマンドバトル
『いのちのつかいかた』のもうひとつの特徴は、コマンドバトルとQTEを織り交ぜた戦闘システムだ。

戦闘の進行については、従来のコマンドバトルと同様だ。1ターンのうち3回行動でき、特殊技の「CP」か、魔法の「MP」を消費して3回分の行動を決めていく。攻撃はもちろん、魔法、アイテムの使用、防御のアクションもカウントされる。
「主人公→敵→主人公→敵→主人公」という風に交互に行動し、3回終わったら再びコマンド操作を行うといった流れとなる。従来のJRPGと異なるため、最初は戸惑いを感じるかもしれない。しかし、実際はシンプルな作りになっているので、数回の操作で慣れるはずだ。


一方、敵の手番になるとQTEのアクションが発生する。敵が攻撃すると、ランダムで選ばれた方向キーのアイコンとバーが表示され、白い縦棒が左へスライドし始める。縦棒がバーの中央(青色)に達したタイミングで該当の方向キーを入力すると、回避が可能になるわけだ。
中央以外の場所で方向キーを入力すると、回避はできないものの被ダメージは抑えられる。一方、入力を誤るとクリティカルヒットになり、致命的なダメージを負ってしまう。スライドのスピートは敵の攻撃で変わるため、ミスが許されない緊張感に襲われるのだ。


特筆すべきは、敵の「怒りモード」。敵にダメージを与えると「怒り」ゲージがたまり、100%に達すると怒りモードを発動する。本モード発動中はQTEのスピードが通常よりも速くなる、かつ攻撃力がアップするため、よりシビアな戦闘を強いられるのだ。

ちなみに、戦闘中に倒れると一度だけ復活することができる(難易度によって復活時の回復量が変化するが)。そのほかにもゲームオーバーになっても戦闘の開始直後から再開できるなど、トライ&エラーのしやすさも評価に値するところだ。


本作の戦闘を何度か体験してみたところ、コマンド操作は簡単だが、QTEは少々難しいといった印象を受けた。とくに本作のQTEは戦闘状況に応じてスライドのスピードが変化するため、得意・不得意が分かれやすいのではないかと予想している。筆者の反射神経が衰えてしまったのか、QTEに失敗して何度も倒れた覚えがある。

本作に興味があるけれどもQTEが不安な人は、難易度を「Easy」にして遊ぶといいかもしれない。QTEのスピードが緩くなるなど、戦闘難易度がやさしくなるからだ。または強力な武器・防具を装備させてみる、商人から装備品を購入する、攻撃・防御ブーストを活用するのも有効と言えるだろう。




コマンドとQTEを融合させたことで、幅広い戦略と緊張感の両方を体験できるようになっている。QTEの難しさが目立つものの、最近のJRPGにはない手応えを得るとともに、スリリングな戦闘に熱狂する自分がいた。

コメント