シングルスレッド性能は過去一!
では、次にCPUの性能をチェックしていこう。筆者は初代GPD WINからゲーム機型PCの性能をチェックしているので、まずはこれまで計測し続けてきたデータと比較するためのベンチマークソフトで計測してみたい。
筆者が所持している初代GPD WINは、Cherry Trail世代のAtom x7-Z8750(クラウドファンディングモデルや発売時期によっては異なる)を搭載しているが、最新のCinebench 2024には対応していないため、当時使用したCINEBENCH R20で「Claw A8 BZ2EM」も測定して、CPU性能を比較してみたい。
今まで借りて来た製品の結果も含まれるため、「Claw A8 BZ2EM」以外は最新のOS、ドライバーではなく、あくまで各機種の記事執筆時点での結果だ。そのため、あくまで参考値として欲しい。
「Claw A8 BZ2EM」のOSはWindows 11 Home(24H2)で、記事執筆時点でのグラフィックス・ドライバーバージョンは「24.30.46」だった。


CINEBENCH R20のスコアは、シングルスレッドが765ptsと過去最高の数値となっている一方、マルチスレッド性能は前世代のRyzen Z1 Extremeを搭載したROG Ally Xなどより若干低い5475ptsとなっている。最大クロックが0.1低いためか、要因ははっきりしないが、ゲーム性能はシングルスレッド性能に依存する傾向にあるため、前世代よりも内蔵GPUのコア数が多い点もあり、ゲーム性能では優位に立てる期待感がある。
Cinebench 2024でも計測し、筆者が計測して記録のあるデータと比較したい。

こちらでもCINEBENCH R20と同じ傾向で、シングルスレッドは最も高いが、マルチスレッド性能でやや前世代のCPUに負けている。3DMarkのCPU Profileでもチェックしてみた。

シングルスレッドはこれまで計測してきたなかでは最も高かった「Claw 8 AI+ A2VM」の1147よりも高く、Cinebenchと同じ傾向だが、4スレッド、8スレッドのスコアの伸びがイマイチ。結果的には8スレッドCPUを採用している「Claw 8 AI+ A2VM」より高いスコアを示しているが、ややこのマルチスレッドの伸びの悪さが、Cinebenchのような結果に繋がっているようだ。
サーマルスロットリングが作動していないか確認するため、Cinebench 2024動作中の温度を「HWiNFO 64 Pro」で計測してみた。Cinebench 2024動作させてから終了するまでを測定している。

CPUは瞬間的に90℃を超えることがあったが、概ね90手前を維持し、極端に下がっていることはなかった。内蔵GPUの温度は70℃からゆるやかに上がって75℃を超えているが、そこまでおかしな挙動はしておらず、冷却は十分間に合っているようだ。
ゲームプレイ中は上部から熱い空気が排出されていて、背面中央付近とディスプレイ部は、やや暖かくなるがグリップ部分にはまったく熱が来ておらず快適にプレイできるので、その点も心配ない。
Ryzen搭載機の中ではもっとも高いスコアを示した
今度は古くから軽いゲームの定番となっていて、初代GPD WINから計測を続けている『ドラゴンクエスト10』ベンチマークソフトの結果と比較してみた。ちなみに、初代GPD WINなど古い機種は、解像度が1280×720ドットと低かったため、解像度はそれに合わせ、画質は「標準品質」として計測している。

『ドラゴンクエスト10』のスコアは、前世代のRyzen Z1 Extremeより内蔵GPUのコア数が多い利点がはっきりと出て、より高いスコアを示した。一方で、相性も良いIntel Arcを搭載した同社既存のClaw A1MとClaw 8 AI+ A2VMには、スコアで負けるという結果となった。
念のため、解像度を「1920×1080ドット」のフルHD、画質を「最高品質」にしても計測してみた。

当たり前だが、こちらも最高評価なのは変わらないが、Claw 8 AI+ A2VMのスコア17029よりは、2700も低いスコアとなっていた。では、他のゲームベンチではどうだろうか。
『ドラゴンクエスト10』ベンチマークほどは過去製品の結果は残っていないが、『黄金のレガシー』より1つ前の『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ』のベンチマークでも計測。加えて、『ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー』のベンチマークソフトでも使用し、過去に計測して筆者が記録を残していた製品の結果とも比較してみた。
いずれも品質は「標準品質(ノートPC)」に設定。『黄金のレガシー』のベンチマークソフトはアップスケーリングに対応しているため、AMD FSRの「常に適用」でスコアを計測した。ここからは、ゲームによって画質のプリセットの表記が異なるため「品質」と統一して表記する。


こちらも『ドラゴンクエスト10』ベンチマークと傾向は同じで、Intel Arcを搭載する既存のClaw A1MとClaw 8 AI+ A2VMにスコアで負けている。一方で、競合他社の従来のRyzen CPU搭載機よりは高いスコアを示している。
重いタイトルとして『モンスターハンターワイルズ』のベンチマークの結果も見ていきたい。品質設定は「最低」、AMD FSRを「ウルトラパフォーマンス」にして測定した。


『モンスターハンターワイルズ』は、品質が「最低」であれば1920×1200ドットでも平均60fpsをギリギリ超え、ゲームをそれなりにプレイできる。ただし、ベンチマークソフトでは、アニメーションシーンなども含まれるため、高めな結果が出るため、実ゲームではもう少しフレームレートが落ちる。また、たとえ8インチと画面が小さくても画質の粗さが目立つ。
そのため、より快適に遊びたいなら、高性能なPCが別途あるならSteamのリモートプレイで、なければGeForce Nowなどのクラウドゲーミングサービスを活用しよう。

©CAPCOM
上の画像は「Claw A8 BZ2EM」にてGeForce NowのUltimateで『モンスターハンターワイルズ』をプレイした際のもの。解像度が1280×800ドットで固定されていたが、「中」画質で平均120fpsと滑らかな映像で遊べた。
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