- 文●ハッチ
ROG Xbox Ally XはほとんどのゲームでフルHDで快適!
最後にいくつか最新のPCゲームのプレイ中のフレームレートで動作をチェックしていきたい。フレームレートはCapFrameXを使って計測している。図版の解像度表記は、スペースの関係上1920×1080ドットを1080p、1600×900ドットを900p、1280×720ドットを720pと示している。また、画質に関わる項目名はタイトルによって異なるため図版では「品質」表記で統一している。
まずは、人気の「アトリエ」シリーズの最新作『紅の錬金術士と白の守護者 〜レスレリアーナのアトリエ〜』のフレームレートを測定した。解像度だけだと、ほとんどフレームレートが変わらないなどがあったので、解像度とグラフィック全体品質の画質(High、Standard、Low)の組み合わせ、3パターンで測定している。
一定のルートを通って、2回戦闘を行い3分間プレイした際のフレームレートを計測。平均(Avg)と1% Low Avarage(1% Low)を最小値として採用している。



ROG Xbox Ally XはフルHD&High設定でも平均100fpsを超え、かなり安定したプレイができている。720pと900pで結果が逆転するなど、解像度を落とすとほぼ誤差範囲の上下を繰り返し、1% Low Avarageでは逆転現象が起きているが、おおむね120Hzのリフレッシュレートを活かせる動作で遊べていた。
ROG Xbox AllyもフルHD&High設定ですら66.1fpsと平均フレームレートは高め。ただし、たまに画面がカク付くこともあったので、ストレスを感じることがあるなら画質設定を調整したい。それでも十分快適に遊べていた。
音速のハリネズミ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を題材としたレースゲーム『ソニックレーシング クロスワールド』は、疾走感の高さとギミックによるユニークなレース体験で高評価。そんな『ソニックレーシング クロスワールド』はグラフィック品質を最高設定の「High」に固定し、解像度を変更してフレームレートを測定している。



『ソニックレーシング クロスワールド』は60fpsが上限のゲームのため、ROG Xbox Ally Xは解像度がフルHDですらほぼ60fpsに張り付き快適にプレイできている。ROG Xbox Allyでも概ね良好だが、ややフルHDなどの時は画面がカク付くことがあったため、1% Low Avarageが38fpsは超えているHD解像度でプレイする方が良さそうだ。
もう1つRPGとして、2024年に生誕20周年を迎えたストーリーRPG「軌跡」シリーズの第1作目『英雄伝説 空の軌跡FC』の完全フルリメイク作品『空の軌跡 the 1st』も試してみた。『空の軌跡 the 1st』は、Radeonのドライバの相性なのか解像度を下げると、フルスクリーンでもウィンドウが小さくなり、左上で固定されるようになった。
そのため解像度は1920×1080ドットのフルHDで固定し、グラフィックプリセットのみ変更してフレームレートを測定した。



『空の軌跡 the 1st』はそこそこの重さで、ROG Xbox AllyだとHigh設定では平均が30fpsを下回り、たまに画面がカク付く動作に、Low設定であれば30fpsを超え、フレームレートを30固定にして垂直同期を有効にすれば、遊べるかといった感じ。ROG Xbox AllyでもHigh設定だと動作がちょっと重いので、Medium以下にした方が無難そうだ。
「サイレント」シリーズ初の日本を舞台としたホラーゲーム『SILEN HILL f』もピックアップ。フルスクリーンでは解像度の変更ができなかったため、画質設定とアンチエイリアス設定の2つを「クオリティ」「バランス」「パフォーマンス」の3つに揃えて、3パターンの計測を行った。


『SILEN HILL f』は それなりに重くROG Xbox Allyではクオリティだと平均13.4fpsとかなり厳しい動作に。パフォーマンスにすると29.5fpsまで上がるが、それでも動作が心もとない。一方で、ROG Xbox Ally Xではクオリティーだと、こちらも平均35.5fpsで1% Low Avarageが11.4fpsと、画面がたまにカク付く動きに。
パフォーマンスであれば、平均60fpsを超えて1% Low Avarageも39.2fpsまで上がるので、問題なくプレイできる。
紳士諸氏を虜にして話題となった『バニーガーデン』のスピンオフ作品で、酔っぱらったキャストを無事に家まで送り届けるという千鳥足アクションゲームといった、新たな境地を切り開いた『へべれけ ばにーがーでん』も取り扱ってみた。
グラフィック設定も解像度変更もできないので、フルHD&フルスクリーンのみのフレームレートを測定した。




『へべれけ ばにーがーでん』は、一見重そうに見えるがそれなりに軽く、ROG Xbox Ally Xであればほぼ60fps貼り付きの安定した動作で楽しめた。ROG Xbox Allyでも50fpsを超えるフレームレートが出ていたが、メモリーが不足しているのか、ちょくちょく画面が止まって瞬間的にフレームレートが落ちたので、1% Low Avarageが下がっている。
ちょっとROG Xbox Allyでは厳しい感じだが、どうしてもプレイしたい場合は、本体のディスプレイ解像度を1280×720ドットに下げてからプレイするのも一興だ。
Xboxと融合した1つの完成形のゲーム機型PC
以上で、ROG Xbox Allyシリーズの検証を終了したい。ROG Xbox Allyシリーズはマイクロソフトとの共同開発によって実現したXboxをそのまま手元で操作しているフルスクリーンのアプリケーションにより、デスクトップを表示することなくゲームをプレイして終了できる、まさにPCゲームができるゲーム機となっている。
必要な時以外は、バックグラウンドのリソースが抑えられていて、PCでよくあるバックグランドで動いているアプリからの通知などに邪魔されることもなくゲームが楽しめる。Steam Deckのように独自OSでそれを実現している訳でなく、通常のPCとして任意でデスクトップも表示できるため、独自クライアントのゲームやアプリも自由に入れることができる汎用性も、きちんと確保できている。
ROG Xbox Ally Xは、AIに特化したNPUを備えたCPUを搭載し、今後マイクロソフトが追加する、AIを使ったゲームが快適になる機能にも対応し、かつ現行のRyzen搭載ゲーム機型PC最高クラスの性能も確保しながら、13万円台という価格に抑えているのも魅力。

一方で、ROG Xbox Allyは、上位モデルと比較すると性能に見劣りはあるものの、Steam Deckなど同じコンセプトのカジュアルゲーマ―向けの性能は十分確保しつつ、ROG Xbox Ally Xと同じディスプレイ解像度と高リフレッシュレートを備え、前述したXboxライクのまったく新しいUIも利用できながら、9万円以下という手が出しやすい価格に収まっている。
今までゲーム機型PCに興味はあったが、まだ購入していない。今まで使用していたゲーム機型PCの、Windows PCとしてのわずらわしさから開放されたい人は、購入して損のない製品に仕上がっている。
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